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  テレビドラマ『木下恵介アワー(木下恵介劇場)』は、映画『カルメン故郷に帰る』(1951年)のコメディ映画、『日本の悲劇』(1953年)の社会派映画、『二十四の瞳』(1954年)の情緒映画、『喜びも悲しみも幾歳月』(1957年)の人間ドラマなど多様なジャンルの名作映画を世に送り出した映画監督・木下恵介氏が監修したテレビドラマで、1965年(昭和40年)10月27日〜1974年(昭和49年)9月25日に 、TBS系列で30分ドラマとして放送されました。(注:『木下恵介劇場』の第1回作品は、1964年(昭和39年)10月27日〜の『三人の琴』ですが、「昭和40年代」と「連続ドラマ」の二点を重視して、当サイトでは『喜びも悲しみも幾歳月』以降を対象としています。)
  木下恵介氏がテレビ界にいち早く進出して、一世を風靡した『木下恵介アワー(木下恵介劇場)』は、昭和という時代を背景に翻弄される市井の人々の夫婦愛・家族愛・恋愛などを中心とした人間模様や人生の機微を描いた物語で、木下慶介監督の「作家はいつの時代も人間を描かなければいけない」の言葉が象徴するテレビドラマです。放送当時の昭和40年代を懐かしく感じるとともに、私たちが忘れかけたその時代を生きた人々の思いや風景を感じさせてくれます。また、ドラマでの名優たちの活躍や山田太一さんや実妹の楠田芳子さんを始めとした脚本家、実弟の木下忠司さんの音楽などの制作スタッフも忘れることができません。
  「テレビは世につれ、世はテレビにつれ」と言いますが、テレビは世につれますが、世はテレビにつれません。その時代とそこに生きる人々を背景にして、ドラマがあります。また、昭和40年代は明治・大正・昭和・戦後の激動の時代に様々な経験をした人々が、同じ時代を生きた時代でもあります。1965年(昭和40年)の『喜びも悲しみも幾歳月』から1974年(昭和49年)の『わが子は他人』までの『木下恵介アワー(木下恵介劇場)』は、まさに昭和40年代という時代を駆け抜けていったドラマです。ここでは、昭和40年代という時代を背負ったドラマ、『木下恵介アワー(木下恵介劇場)』の軌跡を追っていきます。

  2006年(平成18年)2月28日に発刊された「松竹百十年史」によると「四十年代で特筆すべきは、フリーとなっていた木下恵介監督が、弟で作曲家の木下忠司、妹で脚本家の楠田芳子とその夫のカメラマンの楠田浩之、助監督だった脚本家の山田太一などと企画・製作プロダクションを作り、東京放送(現:TBS)で”木下恵介アワー”を発足させ、『喜びも悲しみも幾歳月』を第一作に、『二人の星』『記念樹』「今年の恋」などの良質なドラマを東京放送と松竹テレビ部で共同制作し、高い評価を持続した」。と記載されており、松竹のテレビ制作で歴史的エポックであることが窺われます。

  2012年(平成24年)に木下恵介監督生誕100周年を迎え、『記念樹』『おやじ太鼓』『3人家族』『二人の世界』の4作品のDVD-BOXが発売され、9月30日〜10月28日は国立近代美術館フィルムセンターで「生誕百年 木下惠介劇場」の特集上映、スカパーの『チャンネル銀河』の「木下惠介と山田太一ドラマ特集」で『3人家族』『兄弟』『二人の世界』、BS11で『3人家族』が2012年12月、衛星劇場で『おやじ太鼓』『今年の恋』『女と刀』『たんとんとん』が2013年5月から放送されるなど、テレビ放映、各地で上映会や講演会などが開催されています。詳細は公式サイト「木下惠介生誕100年プロジェクト」を参照して下さい。この機会に木下恵介監督のテレビ作品鑑賞の一助にして頂ければ幸いです。
(2005年5月 管理者「マヤの暦」・2012年9月追記)
  数々の名作を生み出したテレビドラマ『木下恵介アワー(木下恵介劇場)』は、同名で映画化もされている燈台守の夫婦愛を描いた1965年(昭和40年)の『喜びも悲しみ幾歳月』(主演:大辻伺郎、松本典子)で始まります。仙台の七夕祭で出会った二人が困難を乗越えて愛する姿を描いた『二人の星』(主演:園井啓介、小林千登勢)、養護施設を巣立った教え子たちの喜怒哀楽の人生を描いた『記念樹』(主演:馬渕晴子)、同級生の兄と姉の反発しながらも恋が芽生えていく『今年の恋』(主演:加藤剛、栗原小巻)、鹿児島の女の意地の生涯を描いた『女と刀』(主演:中原ひとみ)、不幸な運命に翻弄された男の生き方を描いた『もがり笛』(主演:江原真二郎)、頑固なカミナリ親爺とその家族愛を描いた『おやじ太鼓』(主演:進藤英太郎、風見章子)、街で電車の中で偶然に出会った男女の恋愛を描いた『3人家族』(主演:竹脇無我、栗原小巻)、兄弟のそれぞれの恋愛を描いた青春ドラマ『兄弟』(主演:津坂匡章、あおい輝彦、秋山ゆり、沢田雅美)、老舗の娘と医者の卵の喧嘩をしながも惹かれ合う姿を描いた『あしたからの恋』(主演:尾崎奈々、大出俊、進藤英太郎、山岡久乃)、脱サラをしてスナックを開く夢を実現する夫婦愛を描いた『二人の世界』(主演:竹脇無我、栗原小巻)、棟梁の父親を亡くした息子が大工として成長する姿を描いた『たんとんとん』(主演:森田健作、ミヤコ蝶々)、孤独な老人とのふれ合いを描いた『太陽の涙』(主演:加藤剛、山本陽子)若い弟と妹の結婚問題から恋愛に発展する男女を描いた青春コメディ『幸福相談』(主演:倍賞千恵子、山口崇)、二人の頑固おやじと娘の妊娠から出産をコメディタッチで描いた『おやじ山脈』(主演:進藤英太郎、佐野浅夫、沢田雅美)、秩父の自然と歴史を背景に一人の男性を愛した美しい姉妹を描いた『思い橋』(主演:藤岡弘、淡島千景、上村香子、松坂慶子)、維新の激動期を愛と真実を求めてたくましく生き短くも美しく燃えた女の一生を描いた『炎の旅路』(主演:大谷直子、木村功、中原ひとみ)病院の手違いで赤ん坊を取り違えられた二組の夫婦の苦悩を描いた1974年(昭和49年)の『わが子は他人』(主演:松山省二、杉浦直樹、音無美紀子、林美智子)まで、昭和40年代を駈け抜けた作品と言っても過言ではありません。
  本放送後の再放送でもその作品の数々の魅了され、今観ても色褪せることを知りません。少しでもその魅力を感じて戴ければ幸いです。
(2006年4月 管理者「マヤの暦」)
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【追記】2012年(平成24年)3月1日よりサントリーのCM「ビールの歴史」で、木下恵介監督の映画とテレビドラマ「木下恵介アワー」作品がふんだんに使われています。ビールを単なる喉を乾かし、ストレス発散の手段ではなく、同じ時代を生きる人と人を繋ぐ文化と捉え、それが一番表現していた時代が、昭和40年代頃であり、その場面には、活気に満ちたビールを杯を傾ける人々の姿があり、「旨いビールを飲むことと同時に、美味しくビールを飲む」大切さがあます。映画『お嬢さん乾杯』(1949年)やテレビドラマ『二人の世界』『兄弟』など名シーンや懐かしい名優の姿を、ビートルーズの名曲「へイ・ジュード」が彩ります。なお、木下恵介アワーではサッポロの赤星がトレードマークのラガービールを飲む場面が多くありますが、CMではサントリーのビールラベルに加工されているようです。
【CMで使用されている『木下恵介アワー』の場面】
1:『あしたからの恋』磯村みどりさん
2:『二人の世界』東野孝彦さん
3:『たんとんとん』太宰久雄さん、中野誠也さん、松岡きっこさん
4:『二人の世界』山内明さん、文野朋子さん
5:『太陽の涙』加藤剛さん、沢田雅美さん、菅井きんさん(後姿)
6:『二人の世界』片山真由美さん【写真】
7:『幸福相談』東京の街を急ぐ人々
8:『たんとんとん』中野誠也さん、井口恭子さん、杉浦直樹さん(後姿)、森田健作さん(後姿)
9:『おやじ太鼓』進藤英太郎さん、風見章子さん、津坂匡章さん
10:『あしたからの恋』山岡久乃さん、林隆三さん(後姿)
11:『あしたからの恋』小坂一也さん、林隆三さん(後姿)
12:『兄弟』北村和夫さん、津島恵子さん、津坂匡章さん
(2012年3月 管理者「マヤの暦」)